2011年8月1日月曜日

雑誌の病-廃刊ではなくなぜ休刊なのか-

小学館ファッション雑誌「PS」が休刊へ -Fashionsnap.comから


PSが休刊を発表しました。今年も雑誌の休刊が続きそうですね。
休刊=いつか復刊する、という図式を正直に信じる人はほとんどいないと思いますがなぜ廃刊ではなく休刊なのでしょうか?
ざっくりと出版ビジネスの資産を見ながら考えてみましょう。


1.人材

事業を行う会社は言うまでもなく優秀な商材無しには成り立ちません。
出版社は、人材そのものが商材と言っても過言ではなく優秀な記者や編集者、作家さんなどがいなければ売るものが作れません。海外の記事を翻訳、編集するだけの簡単なお仕事をする人間に恐ろしいほどの給料を払うのも「人材こそ資産」という出版社の古き良き伝統を受け継いでいるからなのでしょう。とはいえ、最近の出版不況を見ると経営陣は悪しき慣習と思っているでしょうね。


2.コンテンツ

優秀な人材を確保して作り出したコンテンツアーカイブは、出版社の事業を広げてくれます。最近では人気のライトノベルをアニメ、映画、グッズ、イベント、はたまたライセンス事業へと幅広く使用して1作品を様々な事業に応用していますね。紙のビジネスが難しいならとにかく実績作りで本を出しそれを横断的にエンターテイメントとしてコンテンツ使用するというのが近年の主流でしょうか。「映像化不可能と言われたあの作品を奇跡の映画化」という身も蓋もない謳い文句で行う小説ベースの映画も、発刊した当時は技術的や資金の問題でできなくて寝かせていたものが多いです。これは、権利をしっかりと保有している出版社ならではの手法ですね。


3.雑誌コード

本題の部分ですが、意外にも知られていないのが雑誌コードという資産です。
各雑誌に割り振られるアドレスのようなものですが、これが30年ほど前からパンク状態で新規発行が大変難しく、申請しても取れる確率が非常に少ないのです。そのため、出版社は廃刊で雑誌コードが消滅するのを防ぐため廃刊ではなく休刊として扱い新しく発行する雑誌にこのコードを使用するのです。見た事もない雑誌名なのに知っている雑誌Aの増刊号と脇に小さく書いてある場合は、雑誌コードを流用する前にその雑誌が読者に受けるのかどうか調査する意味をこめて雑誌Aのコードを使用しているため増刊と言わざるを得ないケースがほとんどのようです。


というわけで、雑誌が廃刊ではなく休刊にする理由は雑誌コードという資産のためということのようです。

優秀な人材に過去の出版物のアーカイブ、発行する雑誌コードと3種の神器が揃っているためどうしても雑誌中心のビジネスモデルから抜け出せないというジレンマに陥ります。「出版社と言っている以上、それが当然」という意見も真っ当ですが、雑誌を流通チャネルの一部と割り切った宝島社のような(ある意味)イノベーションが起きにくいため、休刊した雑誌と同じ轍を踏む現象が続く可能性が高いと言わざるを得ません。
それでも、検証の結果「読者に響かなかった」とコンテンツの未熟さを嘆いてさらに内容を研鑽する努力をし最高のクオリティを自負して発刊しても「必要以上のスペック」、「時代はライトさを求めている」という自省を強いられる結果になってしまうというスパイラルに陥っているのが現状かもしれません。

では、どうするべきかと言うとこれはまた難問でなかなか解決策が見つかりません。
雑誌コードを売買してキャピタルゲインを得るファンド事業を起こすのも面白いかもしれませんね。
また個人的にはこれまでコードを取れなかった若者にコードを託してしまい出版界の活性化を図るのは有効かと思いますが、その場合は今いる編集者さん達は全滅でしょうね。

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